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<インタビュー>

コックコート」と料理人の関係
KIHACHI 創業者・熊谷喜八氏に学ぶ

ユニフォームメーカーのチャレンジ商品 『ZERO COAT®』(ゼロコート)を熊谷喜八氏と
日本中をご一緒にまわっている松田シェフにご着用いただきながら、料理人にとってコックコートが
どのような存在かについて語っていただきました。

【プロフィール】

KIHACHI 創業者

1946年 東京生まれ

フランス アルパッジョン料理コンクールにおいて、
プロスペールモンターニエ杯を日本人として初受賞

  • 一般社団法人 全日本司厨士協会 総本部 副会長
  • 日本フードコーディネーター協会 顧問
  • 高知県 観光特使
  • 青森県 元気あおもり応援隊
  • 山口県 萩ふるさと大使
  • 広島県 三原市ふるさと大使
  • 東京農業大学 客員教授
  • 株式会社フードクリエイション 代表取締役
  • 日本食生活文化財団「食生活文化賞 銀賞」受賞
  • 厚生労働省「卓越技能章 現代の名工」受章
  • 黄綬褒章」受章

熊谷様は日本だけではなく海外でもご活躍されていましたが、
料理人にとってコックコートとはどのような役割だとお考えでしょうか。

熊谷 喜八氏(以下 喜八氏) 私たちは朝から晩までこれを着ているんですよ。朝の 9時から夜中の 12時まで着ていたなんてこともあります。そういう時に着ぐるしいとかは絶対にダメです。余計なものはいらない、引き算ですね。引き算のかっこよさがあると思います。

松田氏 僕にとってはスーツより正装ですね。勝負服です。どんなに二日酔いでもコックコートに着替えると気持ちが切り替わってスイッチが入るというか。何度もコックコートに助けられましたね(笑)。僕は仕事でよくムッシュ(喜八氏)とご一緒させていただくのですが、そういった時にムッシュは大抵仕込み用と人前に出る用と2着のコックコートを持ち歩かれています。そういうお姿を見ていて、とても勉強になります。

喜八氏 私たちは人間の五感に訴えかけるような仕事ですから、汚いものを着ていたら不味さをイメージさせてしまう。だからお客様をそういう気持ちにさせないように綺麗に着ることは重要です。料理人の優秀さはコックコートの汚れ具合で分かるんですよ。

松田シェフと熊谷 喜八氏

左: 松田シェフと 右:熊谷 喜八氏

松田氏 料理人て意外と見た目で判断されるんですよ。例えば僕が勤めていたホテルでは主任以上になったら黒ズボンが履けるんです。一般職のころは縞ズボンでした。帽子の高さや刺繍の有無などでもどのくらいの役職かがわかったりします。自分が縞ズボンのころは黒ズボンや刺繍コートに憧れていました。料理人にとってユニフォームって重要ですよね。

喜八氏 みんなそうですよ、うちも等級制でした。何等級にならないと黒ズボンが履けないとか。

松田氏 その時には名前やスーシェフなどの役職の刺繍をいれられましたか?

喜八氏 そうだね、若い子も全部。やはり名前が入っているとその人のモチベーションも上がるね。物も大事にするし。人に働いてもらうってそういう精神的な部分を持ち上げてあげる事が大事なんですよ。教育も。人は物質的なことだけでは動かないです。そういう細かい事の積み重ねが強いチームに繋がるんです。

メーカー 仰る通り、同じユニフォームを着る事はスタッフの皆さんの団結力を高める効果もありますね。ユニフォームが料理人の皆さんにとって非常に重要な役割だという事を改めて認識しました。

従来のコックコートと比べて、 弊社の ZERO COAT®(ゼロコート)の着心地はいかがでしょうか?

喜八氏 衿の部分が当たらなくていいですね。衿が首に当たらないのは大事。このデザインの一番いいのは、この袖が止められるところ。(2080型の袖リブ仕様について)シェフはだいたい水仕事をするから、その時にさっと上げて止められるのが非常に良いね。私もよく現場に入るけど長袖はほとんど着ないね。さっと洗ったり包丁を研いだりささっと水仕事できるのがいいんですよ。私は武闘派ですからね、格好だけのコックコートは好きじゃない。そういった意味でこのコックコートは良くできていますよ。

2080 長袖 ZERO COAT®

袖口にリブがついているデザイン。
2080 長袖 ZERO COAT®

松田氏 僕もムッシュの意見と似ています。従来のゴムのついていないタイプだとホテルさんなんかではよくバンドで止めたり捲ったりという事が多いのですが、これは好きな位置で止められる。この袖口(リブ)で止まるので体毛の落下も防げるのかなと思う。

喜八氏 あとは何年か着てみて、その時にこの伸縮性やボタンなんかがどのくらい対応年数が持つのか、そういうところですかね。とにかくしょっちゅう洗濯しますから。

松田氏 いただいたこのコックコートをもう 20 ~30回洗濯していますが、大丈夫です。僕は色々なところに移動しながらコックコートを着てプレゼンする仕事をしているので、シワになりにくく軽くて持ち運びしやすいので重宝しています。乾きやすいので手洗いしてから一晩ハンガーにかけておけば次の日の朝には乾きますし、シワが伸びて人前に出ても大丈夫です。

喜八氏 確かに洗った後にすぐ乾くのはいいね。厚い生地だと乾くのに2日くらいかかる。

松田氏 ちょっとお聞きしたいのですが、綿 100%のパリッと糊付けされたコックコートが好きなコックさんていらっしゃいますよね?ポリエステルだと難しいのかな?と思いますが対策はありますか?

メーカー 綿の多いコックコートですと糊をつけてパリッとさせたくなりますが、 こちらの ZEROコートはそのような手間や洗濯コストも削減できるのが売りになっています。 職人気質な料理人の方からすると受け入れにくいでしょうか?

喜八氏 僕は糊付け好きじゃないよ。軽い方がいい(笑)

松田氏 僕もです。

喜八氏 ポリエステルだと熱い油がかかったときとかどうなの?

メーカー 実際に着火までの時間を計測しましたが、 綿とは秒単位でしか変わりませんでした。ですが、この ZERO COAT®(ゼロコート)はストレッチ性や軽量化に重点を置いているので、熱や火に対しては綿より課題を残しているのも事実です。

松田氏 僕は事故が起きてからよりも、通常時の環境の方が大事かなと思います。先日お仕事させていただいた現場はダクトをつけると暑くなるような厨房だったのですが、そうなってくると暑さがその現場での生産性に関わってきます。暑さや軽さなど働く人の環境を整えることの方が優先度としては高いのではないかと感じています。

ストレッチ性と軽量性に重点を置き シャツのような着心地を実現したシリーズ。

ストレッチ性と軽量化に重点を置き、シャツのような着心地を実現したシリーズ。

喜八氏 そういった意味ではよくできていますよ。必要なものはついているし、いらないものはついていない。この袖のポケットは便利ですね。若い人はみんなメモ帳持っているからね、みなさん胸のポケットに入れるんですよ。これはおいくらくらいなんですか?

メーカー この ZERO COAT®(ゼロコート)シリーズは 2,000 円台後半から 3,000 円代後半くらいです。 (※10 月より価格改定があり、 ご着用のデザインは税込みで 4,235 円となりました。)

喜八氏 機能的なのにこの値段で出来ているっていうのは良くできていると思いますよ。

松田氏 機能について補足ですが、背中から肩にかけてのストレッチがしっかり効いているのでしっくりくるんですよ。伸びない固いコックコートだと僕みたいなガタイのいい人間は 1 サイズ上を着たくなるんですが、そうすると今度は変なところがブカブカになるんです。今の新進気鋭のシェフなんてピンセットで繊細に飾り付けしたりするので、その時に肩が伸びるのは重要です。

メーカー 重要な部分を補足していただいてありがとうございます!

最後になりますが、 これからの時代に料理人として働いていかれる皆様に何かお言葉をお願いいたします。

喜八氏 まずは料理の勉強もそうなんだけど、語学が必要。今の時代に日本の中で大きく成功する可能性は少ないです。日本の中にいてもグローバルスタンダードを考えていけば、どこにいても日本の中でも成功できます。英語だけは日本語と同等くらいにしゃべれないといけないですよ。5 か国語くらいしゃべれるようになるといいですね(笑)